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最近は普化(虚無僧)尺八に興味があります
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 尾崎眞龍の生没年が明らかになったのは、昭和50年頃。富森虚山師(昭和50年没)が「中尾都山は尾崎眞龍に師事した」というのは、都山(昭和31年没)からの聞き書きなので、その時点では調べ様が無かったとも言える。では何故、都山が勝浦正山では無く、尾崎眞龍に師事したと証言したのか、に疑問が残る。勝浦正山は昭和17年に亡くなったが、都山は明暗寺由来の文献類をいくつか所有していた。勝浦正山師の遺族から買い上げたのか、紀州新宮市の尾崎眞龍師の遺族を尋ねて買い上げたのかは不明だが。それらは総て疎開させるべく準備し、いざ疎開するという前日に空襲に遭い灰燼に帰したのだが、それ以前に、中塚竹禅師が借り受けて筆写されている(詳しくは「琴古流尺八史観」を参照の事)。
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 古典尺八及び三曲に関する小論集、読了。500ページ弱の大部なので読むのに時間が掛かってしまったが、大変に参考になった。
 さて、普化宗は明治4年、太政官布告に依って廃宗解散を命じられた。時の明暗寺看主34世・自笑昨非は名を明暗(アケクレ)覚作と改めて還俗、役僧(指南役)尾崎眞龍は故郷和歌山の新宮町に戻って生涯を終えた(明治21年没)。勝浦正山は岡山から上洛後、遥々和歌山の尾崎眞龍を尋ねて入門を許され、明治16年4月から明治20年11月まで師事して旧明暗寺所伝62曲を修得して皆伝を得た。明治21年に再度上洛して明暗教会に所属して京都支部長の地位に甘んじたが、虚無僧としての行化を欠かさなかったという。
 かくして、中尾都山は尾崎眞龍ではなく勝浦正山に師事した事が明らかだろう。何故、富森虚山師が「中尾都山は尾崎眞龍に師事した」と書いたのか、甚だ理解に苦しむ。
 「都山流尺八 朝風/夜の懐い-島原帆山」Columbia CL-106 (10インチ盤)の裏解説に、<中尾都山師の俤>と題して「十九才で京都明暗教会に入り、その技優秀を認められ虚無僧の許可を受けた。」とある。署名が無いので執筆者不明なのが残念だが、明暗教会は樋口對山が「訳教」として教えていた筈で、都山は對山に師事したのだろうか、それとも勝浦正山に、であろうか。興味が尽きない。

 「大正五年頃、(略、小路豊太郎が)東京滞在中、たまたま上京中の都山流尺八宗家中尾都山と面談し請われて「山谷」と「鈴慕」の曲を吹いたところ、ぜひ伝授願いたいと申し込まれたという。」(「-江差追分と尺八に生きた-鴎嶋軒小路豊太郎と周辺の人々」井上肇著、1995年3月24日発行、私家版。76頁)
 大正5年といえば、都山流が全国にその勢力を広めていた時期に当る。都山自身が明暗流の「山谷」「鈴慕」を修得していたか否かは知る由も無いが、北海道の小路豊太郎とは系統が異なるので、多大の興味を抱いたのだろう。当時、飛ぶ鳥を落とす勢いの都山の、飽くなき向学心が興味をそそる。

 「流祖中尾都山逸話集」都山流史編纂委員会編、(株)都山流出版会刊、昭和43年6月10日発行。
 都山流70年史を編纂するにあたり、流内外に逸話を募ったところ沢山の原稿が集まり、本編に収録できず、別に一巻に纏めて刊行された物です。その内、気になった部分を抜き出すと、
 中瀬楸山「中尾家と私の家とは五百米程の距りであった。(略)私の祖父に仕え一番番頭であった通称米松(こめまつ)と云うのが、若い頃流祖ともう一人エチイチと三名で尺八の修行に枚方を発った。虚無僧と同じく或は門に立ち或は尺八の上手に教を乞うた次第であるが、流祖はどこ迄も上手を求めて歩を進められる。遂に米松等は枚方に逃げ帰った。」(101-102頁)
 虫明圭山「過ぐる大正七年(略)種々芸道のお話を頂いていました節、突然かたわらの尺八をお取りになりまして竹調べの後、朗々と吹奏なさいました。それは実に素晴らしい「追分」でした。」(103-104頁)
 前者は残念ながらいつ頃のことなのか判然としないですが、若い頃から流祖の並々ならぬ向上心が伺えます。明治4年の太政官布令により、普化宗は廃宗となり虚無僧は離散しました。明治23年に明暗教会として再興されましたが、流祖の虚無僧修行は、その前でしょうか後でしょうか。


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